ヨーロッパにインスパイアされた、洗練されたデザイン提案。

もともと私は、インテリアデザインが専門だったんです。インテリアデザインを考えていると、必然的に間取りやライフスタイルも視野に入ってくるので、そこから建築の道に入りました。だからプランニングも、最初にお客様らしいスタイルを見つけ出し、その空間イメージを住まい全体に広げていくという手法です。
自分のスタイルが決まっている方、好きなものがありすぎて混乱している方、何が好きなのかわからない方…どんなお客様にも対応するためには、たくさんの引き出しを持っておきたい。だから海外での情報収集を意識的に行ってきました。インスパイアされるのはヨーロッパ。中でもフランスやイタリアは人々のインテリアへの関心が高いですね。古い建物が多いため、すでにある空間でいかに自分らしく暮らすかを、みんな工夫しておられます。日本でも最近いろいろなインテリア雑貨がたくさん輸入され、それとともに家に興味関心を向ける人も増えてきました。日本人の感性やライフスタイルも変わってきているように感じます。

ゲストを招くための、空間のつながりと見せ場の演出。

欧米の人たちは、ホームパーティが大好き。お家も広くて「人が集まるために家がある」という感覚があります。日本でもホームパーティを楽しむ方が多くなってきました。欧米のように広い家は難しいけれど、空間のつながりを意識して大勢が楽しく集える家づくりを意識しています。LDKなら、ママたちが集まってお茶を楽しめるダイニングがあって、パパたちがお酒を飲みながらくつろげるリビングがあって。窓の外の広いバルコニーでは、子どもたちがペットと一緒に水遊びをしていたり。
数年前に設計した家も、人を招くのが大好きなお客様でした。バーベキューができる広い庭とゆったりしたLDKがあるシンプルなプランですが、空間の見せ場として飾り棚をたくさんつくったんです。ご入居されてからそのお宅に行くたびに、室内の様子が変わっていくんですよ。飾り棚に可愛いロンドンのグッズが増えていたり、洒落た椅子が置かれていたり、住まい手らしさがどんどん出てくる。そんなふうに家も生きているんだと思います。

「らしく」がつくり出す、個性的な空間、お気に入りの暮らし。

その人「らしく」をうまくカタチにしていくのが、私の仕事です。お掃除が苦手という方にはシンプルな間取りで収納を増やすとか、お気に入りの椅子が映える空間をつくるとか。螺旋階段が憧れだとおっしゃるお客様のために、玄関扉を開けたら広いホールに螺旋階段がオブジェのようにそびえる空間をつくったこともあります。
最近お客様のニーズで多いのが、オープンなキッチンを中心とした家づくり。ゴージャスなキッチンもいいけれど、敢えてシンプルなデザインにして、お気に入りのキッチングッズで自分らしいコーディネートを楽しまれる方も増えています。
「らしく」を優先するあまり標準仕様からはみだした建築デザインになることもあって、工務店さんにはいつも「お願いします」と頭を下げてばかり…。でも、お客様それぞれのスタイルを追求した住まいづくりは私にとっても楽しくて、つい夢中になってしまうんです。もしかしたら私は、お客様のマイホームに自分の夢を重ねているのかもしれません。

金沢 ちかこ プロフィール

大学ではデザイン美術を専攻。卒業後、ディスプレイや店舗企画、空間デザインなどに携わる。代表作は「神戸北野ホテル」など多数。 その後マンションデペロッパーに勤務。住宅建築を学ぶ。1998年に独立、現在に至る。住宅のデザインやコーディネート実績数はのべ100棟以上。

OTHER WORKS

  • センシア苦楽園2番町(M邸)

    螺旋階段が主役になる家。
    玄関ホールに佇むシンボリックな螺旋階段が生活導線の中心になり
    家族のコミュニケーションが自然に生まれるような家。

  • 中国茶のお店

    ゆったりした気分で中国式の喫茶を嗜めるよう、
    シノワーズスタイルの異空間を設計。

  • センシア宝塚山本西

    それぞれに個性ある二棟の住宅。左右対称のシンボリックな外観に丸や四角のニッチを施し
    個性と調和を図った。
    室内にも外観と同じデザインコードを持たせている。

  • 美容室

    フランス好きのオーナー様の意向を受け、
    パリのアパルトメントというコンセプトで
    インテリアを設計。